生涯に亘って受け止めのできる法人を目指して

社会福祉法人むさしの郷

挨拶から始まった初めての支援

平成28年1月7日、私の支援員としての仕事がスタートしました。実はむさしの青年寮に入社前、ある障害を持った方と関わる機会があったことを思い出したので書いて行こうと思います。
むさしの青年寮に入社するかなり前の話になります。当時、朝のジョギングが日課だった私は近所の公園に頻繁に通っていました。その時に毎回すれ違う若そうな男性と、連れ添う中年の男性。若そうな男性の方は何やら機嫌が悪そうな面持ち。中年の男性が何か話しかけながら歩いていました。私は何気なく「おはようございます」と挨拶を2人にしてみた所、一瞬固まりこちらを見つめた後に「おはようございます!」と元気な笑顔で挨拶が返ってきました。その後は毎回挨拶をする仲になりました。
ある日、普段より早くジョギングに出発した時、ある家の前にその二人が立っていました。いつも通り挨拶を交わしその日の午後、所用で市役所に行った際に玄関付近で野菜を売っている方たちを見かけました。特に関心がなかった私はその場を立ち去ろうとした時「お兄さん!」と声を掛けられ振り向くと毎朝すれ違う二人の男性の姿が。そこで少し立ち話をして分かったことは、付き添いの男性は障害者施設の支援員で、毎朝その青年の出勤を迎えに来ていたようでした。その青年は中々出勤したがらなかったようですが、私との挨拶がきっかけで挨拶する事が楽しみになり、普段より早く家を出るようになった話をして頂きました。今日も私が来るのを待っていたとのこと。その時の温かい気持ちは今でも忘れる事が出来ません。達成感にも似た気持ちになりながらその青年が売っていたナスを購入し家路に着きました。
あれから何年経ったでしょうか?まさかあの時この業界に入るとは思いませんでしたが、最近仕事をしながらこのような温かい気持ちになることが多くなってきました。支援員として働いていれば良い事だけではなく、悪い事もあります。そんな時はあまり難しく考えず、一言の挨拶で心を動かす事が出来た1人の見知らぬ男性のことを思い出し、これからも利用者に笑顔を届けに業務に励もうと思います。(前中)